災害時に薬剤師ができること その二

災害時に薬剤師ができること

災害時においては、被災地で活躍を期待されるところもありますが、
被災地以外でも薬剤師の方が活躍されています。
この被災地へ安定的に医薬品を供給する中にも薬剤師の重要な役割があります。
災害がおきた場合は、厚生労働省や都道府県の薬務担当課らが指揮をとって、
被災地外から救援医薬品、医療材料、衛星材料がいったん集積所に集められるのです。

そして、そこで仕分け、保管、管理がなされた後に
保健所を経由して救護所や避難所に搬出されるという流れになります。
中越地震の際には、二次集積所として市町村村役場も設けられ、
そこから避難所に供給がされるということもなされました。

集積所には一般用医薬品と医療用医薬品の二箇所が設けられ、
阪神・淡路大震災のときなんかは総額42億にものぼる医薬品などが搬入されたという話です。
そして、この集積所ではよりスピーディかつ効率的、
そして何よりも安全が重視された薬の管理が行われることになります。

例えば、薬効別分で管理されるのもその一つです。
被災地に送ることのできる薬は限られています。
どの地域においても平等にかつ十分な薬を行き届けさせるとうのは、
物資運搬の面からも非常に難しいところがあるのですが、薬効別で管理することによって
なるべくその地域や被害状況に応じた医薬品の調達に供与できることにつながるのです。

不足医薬品

また、在庫管理、出入り管理、品質管理などを行いながら、
被災地の要望にこたえる形の共有をします。
不足医薬品の発注などの業務を行いながら
最終的に迅速かつ的確な搬送を行うことがこの集積所での業務になります。
そして、この中で中心的な役割をするのが薬剤師となるのです。

また、大規模災害がおきた際には、公衆衛生活動に薬剤師として関わることもあります。
この作業は非常に地道な作業ですが、とても大切なことです。
被災地の飲料水の確保のために水質検査を行ったり、
倒壊してしまった建物の中からアスベストが飛散していないかなど、
様々な化学物質が地球にあたえる影響についても考える必要があるのです。

化学物質がその後その土地に対して残してしまう影響というのは甚大なものがあります。
東日本大震災のときのように、放射能物質の飛散によって、
農作物に関しては風評被害もでてたくさんの農家の方が窮地においやられる形に
なっただけでなく、実際に放射能汚染の色濃い地域に関しては避難を余儀なくされて、
すむことですらままならない状況へとなってしまっているのです。

化学物質の地球に与える影響を考えて、
解体家屋や廃材の野焼きなどによってダイオキシンが発生することも考えられます。
また、カドミウム雨や土壌、水質汚染に関しても実態調査がしっかりとなされることが
大切であり、その調査も薬学部出身の薬剤師が関わるということになります。
災害救助に関して興味のある方は薬剤師への道を選ぶのもいいでしょう。
とても社会的に意義のある仕事であり、
大規模災害の際にはなくてはならない存在であえることは間違いないのです。