災害時に薬剤師ができること その三

求められるスキル

昨今の薬剤師として求められるスキルの中にコミュニケーション能力が入っていることは言うまでもありませんが、被災地においても医療関係者として、このコミュニケーション能力が多分に発揮されることになるかと思います。
被災地での具体的な活動としては、医療用医薬品や一般用医薬品の保管や管理そして被災者への供給を行うことが中心になることが多くなるかと思いますがそのほかにもたくさんのやるべき仕事があります。
これは、医薬品や健康全般に関する相談にのること、また、避難所でかかりやすいといわれているエコノミー症候群に対する注意喚起などです。
また、避難所ではどうしても掃除などが行き届かなくなってしまいがちなのでトイレをはじめとして衛生面でも注意する必要があります。
場合によっては、消毒をおこなうなど、衛生環境の整備を行うことも薬剤師としてできることかなと思います。
また、薬剤師自身も被災してしまうというケースもあるでしょう。
学校薬剤師などに欠員がでてしまったり、現地の薬剤師の手が不足してしまいますので、現地の薬剤師のサポート業務としての役割も期待されます。
避難所に指定されるのは多くの場合、地元の小学校であったり、中学校であったり、公民館であることが多いです。
この公共施設の中で自分ができることは何かということを自らの頭で考えてできる範囲で協力をしていくということが非常に大切です。
東日本大震災のときにはたくさんのボランティア活動の薬剤師の方が現地で活躍されていました。

被災地の避難所

被災地の避難所で暮らしている人というのは、ただでさえ精神的にも肉体的にも疲弊していますから、心によりそうだけでもかなりのストレス解消をしてあげることができます。
あくまで患者さん第一とし、いつもと異なる医療体制であっても現地のやり方にあわせた役割を果たすということがとても重要になってきます。
「手元に薬がないのだけれどもどうしたらいいのか」といった不安を抱えている方はたくさんいるでしょう。
「毎日1回服用している薬があったのだけれども、数日間服用しないで時間がたってしまった。このままで大丈夫なのだろうか」というケースの方もいるかと思います。
でも、生活を安定させること、被災してしまった悲しみから立ち上がることに精一杯で、薬に関する余裕がないという人もたくさんいるのです。
このボランティアの派遣については、薬剤師会でとりまとめをしているということもあるので、是非ともという方については、薬剤師会と連携をとりながら、少しでも多くの薬剤師の方が協力できるといいかと思います。
そのときに、ベテラン薬剤師であったとしても、現地での注意事項などを事前に確認し、以前にボランティア活動をしたことのある薬剤師の意見などを聞くということを忘れないようにしましょう。
そして、何かあったときには薬剤師に相談しようと思ってもらえるように、日ごろから自己研鑽を行うこともとても大切なことですね。