漢方薬剤師とは

漢方薬剤師は漢方薬のエキスパート

医療の世界では西洋医学が主流となっていますが、最近では東洋医学への関心が高まり、実際に漢方薬治療を受ける人も増加しています。
漢方薬の認知度が上がった為か、漢方薬を専門に取り扱う薬局も増えており、薬剤師の仕事の1つとしての需要が出てきた流れを受けて、薬剤師の就職・転職先として「漢方薬剤師」の人気が高まっています。

漢方薬剤師の主な仕事内容とは、「漢方薬のカウンセリング」「漢方薬の調剤」です。
「カウンセリング」では、薬局に訪れた患者に問診票等を用いて患者の症状と現状を理解し、それに応じた漢方薬を処方します。
一般的な病院と異なり、体調だけではなく、普段の生活について、患者の性格等、より細かくカウンセリングを行います。

漢方薬は、薬局によって異なりますが、たくさんの種類があり、その中から患者1人1人の症状に合った漢方薬を選ぶ必要がありますので、人により調合が大きく異なる漢方薬において、カウンセリングがとても大切な仕事になります。
場合によっては1~2時間要するケースもあります。
「調剤」においても、漢方薬剤師の深い知識によって、生薬の調合を行います。

漢方薬剤師の活躍の場

漢方薬剤師が主に活躍している場は、漢方薬を専門に取り扱う薬局かドラッグストアです。
漢方薬には医薬用漢方と一般用漢方があり、「医薬用漢方」は、医師が診察し、処方する漢方薬で、保険がきく医薬用医薬品になります。

病院や調剤薬局でもらえる薬ですので、薬剤師のみ調剤を行います。
「一般用漢方」は、処方箋が不要な漢方薬であり、OTC医薬品と同じように医師の診察なしで購入できる薬ですので、保険はききません。

漢方薬局は、医師の処方箋を必要としない一般用漢方のみを扱う薬局が多く、医師ではなく、漢方薬剤師が患者にカウンセリングを行い、調剤をします。
漢方は種類が多く、副作用の恐れがありますので、丁寧に時間をかけてカウンセリングを行う必要があります。

漢方薬剤師の資格をとる

薬局やドラッグストアで漢方薬剤師として働く為には、実際には、国家資格を持っている薬剤師であれば問題なく働くことができます。
決まった資格はありませんが、「漢方薬剤師」として名乗る為には、漢方の専門家としてハイレベルな知識を持ち、東洋医学と漢方薬に関する幅広い知識も要求される職業となります。
漢方薬の知識を得る為には、「漢方薬・生薬認定薬剤師」という認定資格をとることが一般的となっています。

日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が実施する研修会を受講し、試験を合格すると、認定証が発行されます。
3年毎に更新が必要になりますので、きちんと資格内容について理解しておくようにしましょう。

妊婦・授乳婦専門薬剤師とは

妊婦・授乳婦専門薬剤師の役割とは?

妊娠期間や授乳期における薬物療法に関して、母体と胎児、乳児の健康と母乳保育の利点に配慮しながら実施できる薬剤師を認定することを目的に、日本病院薬剤師会が資格の実施・認定を行う制度が「妊婦・授乳婦専門薬剤師」です。
医薬品については薬剤師が担当し、医学的なことは医師が担当するというように、他の職種とも連携をしながら母子ともに安全で適切な薬物療法を提供することを目的として考えられています。

具体的な仕事内容には、妊娠期や授乳期の患者に対し、高い知識と技術・倫理観に従って薬物治療を提供すること、母子の健康・体の変化や安全性に配慮した治療を行う為に、その状況に適した情報を提供し服薬指導を行うこと、妊婦や授乳婦が適切な医療を受けることができるように、医師と他の医療従事者とが連携をとり合って、チーム医療を行うこと、患者が薬剤や治療に関する悩みを持っている場合は相談にのり、相談者に必要な情報収集を行い、カウンセリングを実施すること、妊娠中に服用した医薬品の生殖発生毒性を適切に評価して、医師や患者に情報提供を行うこと等があります。
認定を受ける為には、模擬妊婦・模擬授乳婦とのロールプレイの実施が含まれ、医薬品についてあまり知識がない妊婦・授乳婦がわかりやすいように、正しい知識を伝えられるよう高いスキルを身につけていることが必要になります。

妊婦・授乳婦専門薬剤師になるには

妊婦・授乳婦専門薬剤師資格の申請をするための条件には、「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師資格を保有していること」「日本産科婦人科学会や日本先天異常学会や日本小児科学会の会員になっている事」「妊婦や授乳婦の領域の全国規模の学会、また3回以上の発表を国際学会で行う事、うち1回以上は発表者を務めること」「複数査読制を採用している全国規模、もしくは国際規模に当たる所で2回いじょうにあたり2回論文を掲載させて頂き、うち1回以上は筆頭執筆者であること」「所属する医療機関の施設長の推薦を得られること」、これらの条件が必要となります。

妊婦・授乳婦専門薬剤師の活躍

妊婦・授乳婦専門薬剤師は、妊娠中や授乳中、あるいは乳児を持つ患者に対する薬物治療を行う時には指導的な立場になります。
そのために、年収も一般的な病院薬剤師よりも高くなりますし、管理職手当等を含むと500万から700万円が相場になります。

指導者としての立場になりますので、仕事量も増え、かかる責任も大きくなることでしょう。
カウンセリングや相談を希望する患者から依頼されるだけではなく、他の薬剤師やスタッフからもアドバイスを求められることもあります。
言動・処置の全てに大きな責任がかかりますが、その分やりがいや達成感も多く得られることになります。