妊婦・授乳婦専門薬剤師とは

妊婦・授乳婦専門薬剤師の役割とは?

妊娠期間や授乳期における薬物療法に関して、母体と胎児、乳児の健康と母乳保育の利点に配慮しながら実施できる薬剤師を認定することを目的に、日本病院薬剤師会が資格の実施・認定を行う制度が「妊婦・授乳婦専門薬剤師」です。
医薬品については薬剤師が担当し、医学的なことは医師が担当するというように、他の職種とも連携をしながら母子ともに安全で適切な薬物療法を提供することを目的として考えられています。

具体的な仕事内容には、妊娠期や授乳期の患者に対し、高い知識と技術・倫理観に従って薬物治療を提供すること、母子の健康・体の変化や安全性に配慮した治療を行う為に、その状況に適した情報を提供し服薬指導を行うこと、妊婦や授乳婦が適切な医療を受けることができるように、医師と他の医療従事者とが連携をとり合って、チーム医療を行うこと、患者が薬剤や治療に関する悩みを持っている場合は相談にのり、相談者に必要な情報収集を行い、カウンセリングを実施すること、妊娠中に服用した医薬品の生殖発生毒性を適切に評価して、医師や患者に情報提供を行うこと等があります。
認定を受ける為には、模擬妊婦・模擬授乳婦とのロールプレイの実施が含まれ、医薬品についてあまり知識がない妊婦・授乳婦がわかりやすいように、正しい知識を伝えられるよう高いスキルを身につけていることが必要になります。

妊婦・授乳婦専門薬剤師になるには

妊婦・授乳婦専門薬剤師資格の申請をするための条件には、「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師資格を保有していること」「日本産科婦人科学会や日本先天異常学会や日本小児科学会の会員になっている事」「妊婦や授乳婦の領域の全国規模の学会、また3回以上の発表を国際学会で行う事、うち1回以上は発表者を務めること」「複数査読制を採用している全国規模、もしくは国際規模に当たる所で2回いじょうにあたり2回論文を掲載させて頂き、うち1回以上は筆頭執筆者であること」「所属する医療機関の施設長の推薦を得られること」、これらの条件が必要となります。

妊婦・授乳婦専門薬剤師の活躍

妊婦・授乳婦専門薬剤師は、妊娠中や授乳中、あるいは乳児を持つ患者に対する薬物治療を行う時には指導的な立場になります。
そのために、年収も一般的な病院薬剤師よりも高くなりますし、管理職手当等を含むと500万から700万円が相場になります。

指導者としての立場になりますので、仕事量も増え、かかる責任も大きくなることでしょう。
カウンセリングや相談を希望する患者から依頼されるだけではなく、他の薬剤師やスタッフからもアドバイスを求められることもあります。
言動・処置の全てに大きな責任がかかりますが、その分やりがいや達成感も多く得られることになります。