薬剤師の責任の重さ

責任の重い仕事

薬剤師はとても責任の重い仕事になります。
薬剤の専門知識を持つ職業ですので、仕事をしていくにはそれなりの責任を果たすことが当然とされているのです。

この職業の主な業務は調合した薬や、医師から処方された薬を患者に渡すことです。
ですが、もし患者に薬の量など調合の仕方を間違えた薬を渡してしまったり、勘違いや思い込みなどで医師から処方されたものと違う薬を渡してしまった場合、患者の生命にかかわる事態に発展してしまうこともあります。

調剤ミスで、患者が死亡する事故も何件か発生しています。
埼玉で発生した調剤ミスの例では、胃酸を中和する薬を処方されるはずだった女性が、重い筋無力症の治療のために使う薬を間違って調剤薬局から処方され、薬物中毒で亡くなったというものがありますね。

この事件では、医薬品を管理していた薬剤師が、部下の薬剤師から調剤ミスを指摘されていたのにも関わらず、調剤薬局の会長に報告しなかったことが問題となりました。

一方、調剤ミスには医師の医薬品の処方の仕方、紛らわしい名前の医薬品が多くあるといった、必ずしも薬剤師の責任ばかりとは言い切れない問題も絡んでくる場合もあります。
医薬品として使われている薬剤の中には、毒薬や劇薬の指定を受けているものもあり、そういった薬物は本来慎重のうえに慎重を重ねたうえで取り扱うべきなのです。
ですが、それをせずに単に調剤ミスをしたと薬剤師ばかりに責任を負わせる方が問題なのでは、ということを指摘する声も聞かれます。

また最近では、紛らわしい医薬品の名前がとても多くなっています。
名前がよく似ている薬があまりにも多いために、薬剤師の調剤ミスが起きやすくなっているのです。

近年の電子カルテ

近年の電子カルテの導入も、この現象の増加に拍車をかけています。
電子カルテで検索をすると似たような名前の医薬品が多く候補にあがるため、従来よりもさらにミスが起きやすくなっているのです。

ジェネリック医薬品の普及も調剤ミスの多発につながる恐れが指摘されています。
後発の薬は先発のものと名前が違っているものも多いため、名前と効果が違っているものを間違って患者に処方してしまったとしても、医師が「名前は違っても同じ効果がある」と言ってしまう危険性があるからです。

まぎらわしい名前の薬があまりにも多く存在するため、現在の日本では、薬剤師が薬を取り違えて患者に処方しそうになった事例が全国で年間1万件以上発生しています。

このように、最近では薬剤師の調剤ミスの発生の背景には、さまざまな原因があることが指摘されているため、国などが早急に対策を講じることが求められています。