災害時に薬剤師ができること

薬剤師ができること

阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、そして記憶に新しい昨年おきた東日本大震災、
これらの災害時には薬剤師会などを通じて多くの薬剤師の方がボランティアに馳せ参じました。
薬剤師という仕事はこういった災害時でも多くの活躍が期待される職種の一つであり、
またそれがこの仕事についた人のやりがい、生きがいにもなっているがゆえんです。
自分は薬剤師であるということを頭に置いてさらに誇りに思って生涯の仕事にできるのです。

また、社会からもその役割と能力をいかんなく発揮することを求められています。
災害時に薬剤師としてできる救援は一体何なのかということも今一度検証し、
まだ災害で苦しんでいる方たちの少しでの助けになればということを切に思います。
実際に、災害が起きたときに薬剤師として貢献できることは一体なんでしょうか。

まず、災害発生時に最も優先されるのは負傷者の救助です。
地震直後には全国から多くの医療チームが一番早くに結成されて派遣されました。
そして、現地では緊急的に医療救護施設が設けられ、
医療、救護活動が行われることになります。

被災地においての医療行為はもちろん医師や看護師が中心となって行われます。
人命に関わるケースも数多くありますので、
たくさんの知識と経験を備えたベテラン医師、看護師が求められ、また慣れない土地での
24時間体制での取り組みにもなることから体力も求められ、若い力も必要とされるのです。

医療行為

そこで、その医療行為に必ず必要になってくるものとして、薬があります。
当然、この薬が使用されることによって、たくさんの患者さんが救われることになるのです。
ただし、災害時というのは使える薬が限定されてきます。
平時は調剤室に多くの薬が常備され、その中から患者さんに最も必要な薬を適切にえらび、
処方するということが可能ですが、食料や燃料の運搬もままならない災害時においては、
たくさんの種類の薬を持っていくわけにはいきません。
数種類の限定された薬を使用することになるわけです。

ですから、一刻をあらそうような状況において、医師や看護師に対して限りある薬の中で
どの薬を使うのが有効なのか、反対に使ってはいけない薬はどれかということを瞬時に判断し、
処方について指導していくことがどんなに大切かということは想像にかたくないと思います。
医師の中には使ったことのない薬も含まれていることもありますので、薬剤師としての
専門知識をフルに活用し、適切な処置に対する助けをしていく必要があるのです。

災害が起きてしまった状態の中で薬剤師の役割というのは本当に重要なのです。
普段から行っている調剤や服薬を勉強するに留まらず、
医薬品の選択や同種同効薬を正しく理解しているかについて助言を行うことが
災害を受けてしまった所における薬剤師の仕事となっていると思います。

ですから、こうした被災地で活躍する薬剤師としては病院薬剤師や薬局薬剤師がのぞましく、
特に医療用医薬品と一般用医薬品の両方に対して熟知した薬剤師が
その任につくのがのぞましいのではないでしょうか。