薬剤師になるために

薬剤師は医薬品

薬剤師は医薬品の専門家であり、医師からの処方箋に基づいて開発・製造された医薬品の調剤を行うことで国民の健康に貢献する、非常に社会的役割の大きな職業です。
近年は高齢化社会の問題と同時にセルフメディケーションという考えが強まってきたこともあって、多くのOTC医薬品が販売されていますが、そういった医薬品の副作用を避けるために消費者に注意を喚起するのも仕事の一つです。
このように業務は専門性が高く、社会的な役割も大きいため、薬剤師としての業務を行うためには国家試験に合格することが必要になります。
この国家試験は厚生労働省が実施するもので、毎年3月に試験が実施されます。
国家試験には受験資格があり、だれでも受験できるものではありません。
外国の大学を出た人や外国で薬剤師免許を取得した人など一部の人をのぞいて、原則的に六年制薬学過程(大学の薬学部や薬科大学)を卒業した人だけが受験資格を得ることができます。
現在、薬学課程のある大学は国公立と私立を合わせて全国に80校近くあり、高校生の中には進学先としてどちらを選んだら良いか迷っているという人も多いかもしれません。
入学難易度については一般的に国公立のほうが高めで、私立のほうが入学しやすい大学が多いです。
学費は国公立のほうが圧倒的に安く年間で60万円程度ですが、私立の場合には150万円から200万円程度が相場です。
6年間トータルでは1000万円近い違いが出ることもあります。

薬剤師国家試験

ただし、薬剤師国家試験の合格率に関しては私立のほうが高い傾向があります。
この理由として、一つは「私立のほうが試験対策に力を入れている」ことがあるのです。
私立は国公立と違って補助金が少ないので、大学の経営を考えるとたくさんの学生を集める必要があります。
その時に試験の合格率が高いということが最大のアピールになるからです。
そして、もう一つの理由は「国公立の学生は薬剤師ではなく、製薬会社など一般企業の研究職を目指す人が多い」ということがあります。
一般企業に就職するならば薬剤師の資格を取得する必要がないからです。
ですから、合格を目指すならば試験対策を熱心に行っている私立大学を目指すのも良いでしょう。
国家試験の難易度についてですが、毎年の受験者が1万人前後で合格者が8000人前後となっており、合格率は80%程度です。
ですから、大学で学ぶことをしっかりと理解していればかなりの確率で合格することができる試験となっています。
合格後は医療機関や調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社などに就職する人が多いですが、最近は在宅医療に当たる薬剤師も増えてきています。